Wednesday, March 25, 2009
トヨタプリウス プロトタイプ 試乗 (Toyota Prius prototype test ride in Japan)
富士スピードウェイの構内連絡路をぐるっと数km走る試乗コース。走り方を変えながら3度トライし、燃費は20.1km/リットルから29.6km/リッ トルだった。同じ日に参加した同業者には35km/リットルなんて人もいたから、いやぁ、私、まだまだエコランは苦手です(笑)。
燃費もさることながら、個人的にいちばん気に入ったのは「タッチトレーサー」と呼ぶインターフェイスだ。ステアリング上のスイッチに触れると、それと同じ 図がメーターに出現。オーディオやエアコンなどを、指先に視線を落とすことなく操作できる。新型『プリウス』の先進性を象徴する新技術だと言えるだろう。
ホンダ『インサイト』が「新時代のスタンダード」を目指したのに対し、「トヨタの最先端」であり続けるのがプリウス。シフトバイワイヤーの軽いタッチで 「D」に入れ、アクセルを踏めばEV走行で音もなく走り始める。それは普通=スタンダードとは違う、プリウスならではの世界だ。新型はタッチトレーサーで そこにまた磨きをかけた。
だから、エクステリアのデザインもインサイトよりトンガっている。モノフォルムの空力プロポーションは似ているが、特徴的なのはボディ四隅のカタチだ。空 気抵抗を下げるには、前輪の前にあまり絞り込まない面が必要。フロントコーナーを丸くできず、縦に折れ線を入れるとスタイリングをまとめやすい。ボディ側 面の気流をスパッと剥離させるために、リヤコーナーにもエッジを立てたい。空力セオリーに則ったこのカタチを、トヨタは「エアロコーナー」と呼ぶ。
あえて四隅を丸めて「空力やりました感」を抑えたインサイトとは、実はまったく対照的なデザイン。それぞれの開発意図の違いが、デザインに現れているのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
2-----------------------------------------------
やばいなあと思う。超燃費がよくて走りやすいからだ。
環境や経済性を考えるとハイブリッドは注目なのだが、そろばんオヤジが電卓使うような、どこかラクしちゃって大切な魂を失っていないか? という罪悪感が あったものだ。しかし、今度のプリウスってば、そんなくっだらない昔気質をぶっ飛ばすくらい乗りやすいのだ。ああ、やばい。
加速はいい。ブレーキは止まりきる直前にちょびっと違和感があるけれど、でも悪くない。ハンドリングもスムーズ。
インパネ周辺なんて未来的で個性的で新鮮なデザイン。しかも使いやすいってどういうことよ。後部座席もしっかり広くて首をかしげて乗らなきゃならないイン サイトとは違う。ソーラーパネルで発電して換気するとか、ステアリングにあるスイッチがインパネに表示されるとか、先進技術もてんこ盛りである。
褒めるのが悔しい。悔しいけれどいい。せめて「ドアの開閉のときに鉄板の安っぽい音がする」と、悔し紛れのケチをつけておこう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
3-----------------------------------------------
リッター57km。原付バイクの燃費ではない。新型トヨタ『プリウス』のプロトタイプ試乗会で、富士スピードウェイの場内路をエコランして出した数字だ。
一時停止も上り坂もある道で、フツーのペースで走ってもリッター25km出たので、「やったるか!」とトライしたらこの記録。プリウスおそるべし、だ。し かも静か。遮音性が高まったうえに、エンジンが1.8リットルになったことで、上まで回さなくても加速できることが大きい。もちろんこの低回転志向は燃費 にも貢献しているだろう。
もっともクルマの成り立ちは2代目の正常進化形で、新技術は電動ウォーターポンプなど一部にとどまるし、エコドライブモニターはインサイトみたいに3色に変化させたりせず、単色が基本だ。
しかも生まれて10年あまりのハイブリッドは、さらなるコストダウンの可能性も秘めている。最近のニュースで、現行型より30万円近く安い205万円からという予想価格が報じられたけれど、最初からそれに近いプライスは実現できたんじゃないかという気もした。
4-----------------------------------------------
モーターと内燃機関が高度に連携し、高効率で知性を感じさせる走行感覚。これを私は「プリウス・エクスペリエンス」と呼んでいるが、3代目『プリウス』はまさに、プリウス体験のひとつの完成系だ。
特に強化されたのが、電気系パワートレイン。モーターの最高出力は60kWに引き上げられ、高出力バッテリーの搭載とパワーコントロールユニットの大容量化により、EVっぽさが一段と増した。
満充電ならばEVドライブモードで60km/hくらいまでモーターオンリーで走れる。さらにアイドリングストップからの立ち上がりでは、モーターから動き 出すので振動・騒音ゼロからの出だしになる。これはとても気分がいい。これならEVに傾倒しているアメリカのオバマ大統領も、「プリウスもいいか」と納得 してしまうのではなかろうか。そのくらいEVっぽさが増しているのだ。
先進性の向上と、その演出もきっちりと進化している。まず先進安全装備の充実度がすばらしい。スタビリティコントロールを含む総合的なアクティブセーフ ティ機構「S-VSC」や、急ブレーキ時にすべてのストップランプを明滅させる「緊急ブレーキシグナル」、さらにオプションでミリ波レーダー方式のプリク ラッシュセーフティシステム(ACC機能付き)などを用意。最新の高級車に負けないほどアクティブセーフティ分野への対応が充実している。
利便性を高める装備としては「インテリジェントパーキングアシスト(IPA)」も設定されており、こちらも先代より機能・性能が進化した。
また、個人的にたいそう気に入ってしまったのが、プリウスのUI(ユーザーインターフェイス)。特に高く評価したいのが、ハンドルのタッチセンサー付きボ タンに触れると、センターメーターに透過して浮かび上がる「タッチトレーサーディスプレイ」だ。このデザイン性はとても高く、さらに使いやすい。新設計の マルチインフォメーションディスプレイとあわせて、プリウスのUIデザインはとても先進的で合理的なものになっている。
一方、デザイン面で特筆すべきは、インテリアデザインのよさ。「まだプロトタイプなので内装はトヨタクオリティに達していない」と言われたが、すっきりと 清潔感のあるインテリアはとても上質でクオリティが高かった。ケレン味たっぷりだったホンダ『インサイト』のインテリアやUIのデザインと比べると、プリ ウスのそれは落ち着きがあって好感度が高い。一言でいえば、センスがよくて大人なのだ。
インサイトでは“子ども専用”的な後席スペースも、プリウスは天井が高くて広々。これならタクシー会社で採用してもらってもまったく不満がない。乗る人すべての満足感が高く維持できるのも、3代目プリウスの魅力のひとつになりそうだ。
最後に少し残念だった点をふたつ。ひとつはEV走行時や回生ブレーキ作動時の高周波ノイズが完全に抑え込めていなかったこと。
これはモーターやインバーターなど電気系パワーソースを持つクルマの宿命であり、ライバルのインサイトにだってある。ノイズレベルだって微かなものだ。し かし、インサイトと違いプリウスは「エンジンがかからない」領域がけっこうあるので、エンジン音でかき消されず、高周波ノイズを感じやすいのだ。微かだが 耳につきやすい帯域の音でもあるので、何とか抑え込めないものかと思う。
もうひとつ残念だったのが、長い加速時などでエンジンが高回転をキープしたとき、聞こえてくる音が事務的でぶっきらぼうに感じられることだ。まるで「僕は主役じゃありませんし」と投げやりになっているようで、あまり好ましくない。
確かにエンジンを回して楽しむ類のクルマではないけれど、それならそれでもっと静かで上質なフィーリングを作れなかったものかと思う。終始上質なプリウス なのが、この瞬間だけ粗雑な印象になってしまい残念だ。EVっぽい今回の電気系パワーソースに、レクサスっぽくふるまう内燃系パワーソースが組み合わさっ ていれば、プリウスは全方位弱点なしの究極のハイブリッドカーになったと思うのだが。
総じていえば、プリウスはとにかく完成度の高い「21世紀のクルマ」。ハイブリッドシステムはもとより、そのパッケージや各種先進装備、設計思想はすべて 5年後の世界を先取りしている。ハイブリッドカーの世界観をここまで広げただけあって、プリウスの名前は伊達じゃないといったところか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
ソース: Response (1, 2, 3, 4)
Labels:
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